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借地権の相続|地主の承諾が要る場面と要らない場面。条文と評価額の計算

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最終更新 2026-09-14

この記事でわかること

  • 先に結論
  • 相続は「譲り渡し」として書かれていない
  • 建物の名義は、相続人に移しておく
  • 相続税の評価は「自用地の価額×借地権割合」
  • 相続したあとで売るとき

親の家が借りた土地の上に建っていたとき、最初に出てくる疑問は「地主の承諾が要るのか」です。

相続について地主の承諾を求める条文は、民法・借地借家法の該当条文には見当たりません。 承諾が問題になるのは、相続したあとで第三者に売るときです。この2つが混ざると、「地主に断られたら相続できない」と思い込んでしまいます。

先に結論

場面 根拠の条文 地主の承諾(条文上)
相続人が借地権を相続する 民法896条 定めなし
遺産分割で相続人の1人が引き継ぐ 民法909条 定めなし(相続開始の時にさかのぼる)
相続したあと第三者に売る 民法612条 要る。得られなければ借地借家法19条の許可
相続人以外の人に遺言で渡す(遺贈) — この記事では判断しません(下で理由を書きます)

★「承諾が要る」は売るとき、「定めがない」は相続のとき。この区別が、この記事の中身のすべてです。

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相続は「譲り渡し」として書かれていない

借地権とは、借地借家法2条の定義で「建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権」です。土地の賃借権であれば、民法612条の制限がかかります。

賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。(民法612条1項)

条文が承諾を求めているのは「譲り渡し」と「転貸」です。一方、相続は民法896条で別に定められています。

相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。(民法896条)

★相続は、契約で誰かに譲るのではなく、亡くなった時点で権利義務を引き継ぐものとして書かれています。遺産分割で相続人の1人が借地権を取る場合も、民法909条で「相続開始の時にさかのぼって」効力を生じます。

地主から承諾料を求められたら

当サイトは、相続のときの承諾料の支払いを定めた条文を、上の民法・借地借家法の条文の中には見つけていません。 ただし契約書に特約があるか、ほかの法令に定めがあるかまでは確かめていません。求められたら、まず契約書を読み、根拠を尋ねてください。払うかどうかを決める前に、弁護士や司法書士に見せるのが確実です。

遺贈(相続人以外に遺言で渡す)を判断しない理由

相続人でない人に遺言で渡す場合、上の「相続」と同じ扱いになるとは、条文からは言い切れません。 612条の「譲り渡し」に当たるかは、遺言の書き方や受け取る人によって変わり得るためです。遺言を作る段階なら、公正証書にする前に専門家に確かめてください。

建物の名義は、相続人に移しておく

借地権の対抗力について、借地借家法10条は次のように定めています。

借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。(借地借家法10条1項)

条文が見ているのは「借地権者が登記されている建物」です。相続したあと、建物の登記名義が亡くなった親のままになっていないかを確かめてください。

★建物の相続登記は、もともと義務です。令和6年4月1日から、相続で取得したことを知った日から3年以内に申請する義務があります(法務省のQ&A)。期限の数え方は相続の期限に、書類は相続登記の必要書類にまとめています。

相続税の評価は「自用地の価額×借地権割合」

国税庁のタックスアンサー No.4611 は、借地権の価額を次のように定めています。

借地権の価額は、借地権の目的となっている宅地の自用地としての価額に借地権割合を乗じて求めます。

借地権割合は、路線価図の数字の後ろに付いているアルファベットです。

記号 A B C D E F G
借地権割合 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30%

出典: 国税庁「路線価図の説明」

計算例(形の補正を入れない、仮の数字)

路線価図に300C、借りている土地が150平方メートルの場合です。

  1. 自用地としての価額:1平方メートル当たり30万円に150平方メートルを掛けて、4,500万円
  2. 借地権割合:記号がCなので、70%
  3. 借地権の価額:4,500万円の70%で、3,150万円

★路線価の単位は千円です。300は30万円(1平方メートル当たり)を意味します。 ★実際には奥行や角地の補正が、1の自用地としての価額に入ります。補正と路線価図の引き方は土地の相続税評価額の調べ方にまとめました。 ★定期借地権は、この計算になりません。No.4611 は定期借地権等を別の方法で評価すると書いています。契約書に「定期」とあるか確かめてください。

相続したあとで売るとき

第三者に売るときは地主の承諾が要り(民法612条)、得られなければ借地借家法19条の裁判所の許可を申し立てられます。 ★同じ条の3項で、地主が「自分が買う」と申し立てることもできます。

手続きの流れ、申立て手数料の計算、相続税を払った人の取得費の特例は借地権の売却にまとめました。借地権を扱う買取・相談の窓口は、訳あり物件・共有持分・借地権の相談先に、公式サイトの表記と確認日つきで並べています。

底地を売る・買うときの価格の考え方は、底地の買取価格にまとめています。

この記事でできていないこと

  • 承諾料・名義書換料の金額は書いていません。条文に定めがなく、公表された額を確かめていないためです
  • 契約書の特約の効力は判断していません
  • 旧借地法の時代に結んだ契約で扱いが変わる点は、この記事では扱っていません
  • 遺贈の場合の承諾の要否は判断していません

次にやること

いまの状況 次にやること
地主に承諾料を求められた 契約書の特約を読む。根拠を尋ね、払う前に専門家へ
建物の名義が親のまま 相続登記。必要書類と期限は3年
相続税がかかるか知りたい 路線価図の記号を読む。評価額の調べ方
兄弟で分け方が決まらない 遺産分割協議書の書き方/共有名義のままの注意
手放したい 借地権の売却の手続きを読み、借地権の相談先へ

よくある質問

借地権は相続できますか?

できます。民法896条は、相続人が相続開始の時から被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継すると定めています。借地権(建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権)もこれに含まれます。

借地権を相続するのに、地主の承諾は要りますか?

相続そのものについて、承諾を求める条文は民法・借地借家法の中に見つけていません。承諾を求める民法612条は「譲り渡し」と「転貸」の規定です。相続したあと第三者に売るときは、承諾が要ります。

借地権の相続税評価額はどう計算しますか?

国税庁 No.4611 は「自用地としての価額×借地権割合」としています。借地権割合は路線価図の記号で、A:90%からG:30%です。定期借地権は別の方法で評価します。

地主が売却を承諾してくれません。

借地借家法19条により、裁判所に承諾に代わる許可を申し立てられます。ただし同じ条の3項で、地主が自分で買い取る申立てをすることもでき、その場合は裁判所が対価を定めます。

この記事に関係する相談先(区分「訳あり・共有持分・借地権」の台帳から)

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この記事で参照した一次資料

制度と法令についての記述は、上の資料にもとづきます。手続きの進み方や事業者の選び方など、資料で確かめられない部分は「編集部の見立て」として本文中で分けています。当サイトが資料を確認したのは 2026-09-14 です。
法令・制度は改正されます。手続きの前に、必ず最新の条文と担当する専門家の説明をご確認ください。

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この記事で使った法律の数字の出典

下の数字は、官公庁のページに書かれている内容です。制度は変わることがあるので、判断の前に一次情報を確かめてください。

出典の確認日: 2026-08-27

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