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借地権の売却|地主が承諾しないときの裁判所の手続きと、申立て手数料の計算

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最終更新 2026-09-14

この記事でわかること

  • 先に結論
  • なぜ地主の承諾が要るのか
  • 地主が承諾しないときの手続き(借地非訟)
  • 申立て手数料の計算
  • 相続した借地権を売るときの税金

相続した借地の家を売ろうとして、地主が承諾してくれないときの話です。

土地の賃貸借で借りている場合、建物を第三者に売るには地主の承諾が要ります。ただし承諾が得られないときに使える裁判所の手続きがあり、費用も法律で決まっています。

相続そのものに承諾が要るかどうかは、別の話です。借地権の相続にまとめました。

先に結論

売り方 必要なもの 根拠
第三者に売る 地主の承諾 民法612条
第三者に売る(承諾なし) 裁判所の許可 借地借家法19条1項
地主に売る 地主との合意 —
許可の手続きの中で地主が買う 地主の申立て(介入権) 借地借家法19条3項

★「地主が承諾しない=売れない」ではありません。ただし許可の手続きは、地主が自分で買い取る結果で終わることもあります。

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なぜ地主の承諾が要るのか

民法612条は、賃借人が賃貸人の承諾なしに賃借権を譲り渡すことを禁じています。東京地方裁判所の案内は、借地の建物を譲渡すると「これに伴って土地の賃借権も移転することになるため」承諾が要る、と説明しています。

★612条2項は、承諾なく第三者に使わせたとき、賃貸人が契約を解除できると定めています。

地主が承諾しないときの手続き(借地非訟)

借地借家法19条1項の許可は、借地非訟事件という手続きで申し立てます。東京地裁の案内から、要点を抜き出します。

  • 申立て先:借地のある場所を管轄する地方裁判所(当事者の合意があれば簡易裁判所)
  • 代理人:頼むなら弁護士に限られます(借地借家法44条1項)
  • 最初の審問期日:申立てから概ね1か月〜1か月半後
  • 鑑定委員会:弁護士・不動産鑑定士などを3人以上指定し、裁判所が意見を聴く。鑑定委員の費用は国が負担
  • 申立時に持っていくもの:土地と建物の固定資産評価証明書(原本)、賃貸借契約書、住宅地図など

鑑定委員会は、許可するかどうかだけでなく、借地権者に支払を命じる金額(一般に「名義変更料」と呼ばれるもの)や、 地主が介入権を使ったときの対価についても意見を出します。

地主の「介入権」

19条3項により、裁判所が定める期間内に地主が「建物と賃借権を自分が買う」と申し立てることができます。東京地裁は、これを「優先的に買い取ることができる権利」と説明しています。

★つまり、第三者に売るつもりで申し立てても、地主に売る形で終わることがあります。対価は裁判所が定めます。

申立て手数料の計算

手数料は、民事訴訟費用等に関する法律の別表第一 13の項で決まっています。東京地裁の案内では、土地の固定資産評価額に2分の1を掛けた額を基礎にします(借地の範囲が土地全部の場合)。

基礎となる額 手数料
100万円まで 10万円ごとに400円
100万円超〜500万円 20万円ごとに400円
500万円超〜1,000万円 50万円ごとに800円
1,000万円超〜10億円 100万円ごとに1,200円

計算例:土地の固定資産評価額が3,000万円の場合

  1. 基礎となる額:3,000万円の2分の1で、1,500万円
  2. 100万円までの部分:10区分で、4,000円
  3. 100万円超〜500万円の部分:20区分で、8,000円
  4. 500万円超〜1,000万円の部分:10区分で、8,000円
  5. 1,000万円超〜1,500万円の部分:5区分で、6,000円
  6. 合計:26,000円(収入印紙で納める)

同じ計算で、評価額1,000万円なら12,000円、2,000万円なら20,000円です。

★これとは別に、東京地裁では郵便切手6,000円(相手方1名の場合)の予納が要ります。相手方が1名増えるごとに1,000円を足します。 ★弁護士に頼む費用、名義変更料は、この額に含まれません。

相続した借地権を売るときの税金

国税庁 No.3267 の「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」は、相続税の一部を取得費に足せる特例です。要件は3つです。

  • 相続や遺贈で財産を取得した人であること
  • その人に相続税が課税されていること
  • 相続開始の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること

★地主との交渉や裁判所の手続きが長引くと、この期限を過ぎることがあります。相続税の申告期限(10か月)の数え方は相続の期限にあります。適用には確定申告が必要です。

相談先の選び方

  • 裁判所に申し立てるなら、代理人は弁護士に限られます
  • 申し立てる前に、買取や交渉の窓口に相談するという順番もあります

借地権を扱う窓口は、訳あり物件・共有持分・借地権の相談先に、公式サイトの表記と確認日つきで並べています。仲介と買取の違いは仲介と買取は何が違うかにあります。

調査方法・集計条件

調査対象
土地の固定資産評価額が1,000万円・2,000万円・3,000万円の場合(借地が土地全部)
対象件数
3例
調査日
2026年9月(法令と東京地裁のページを 2026-09-14 確認)
データソース
e-Gov法令検索「民事訴訟費用等に関する法律」別表第一13の項/東京地方裁判所「借地非訟事件について 第3 費用」
集計方法
東京地裁の算定式(固定資産評価額×2分の1)で基礎となる額を出し、別表第一13の項の区分ごとに端数を切り上げて手数料を合算しました。
除外条件
借地が土地の一部の場合、増改築許可の申立て(土地の価額の10分の3が基礎)は計算していません。
注意事項
郵便切手の額は東京地方裁判所の案内(相手方1名 6,000円)です。他の裁判所の額は確かめていません。弁護士費用・名義変更料は含みません。

底地を売る・買うときの価格の考え方は、底地の買取価格にまとめています。

この記事でできていないこと

  • 名義変更料の金額は書いていません。裁判所が事案ごとに定めるもので、公表された一覧を確かめていません
  • 東京地裁以外の運用(切手の額など)は確かめていません
  • 地上権で借りている場合は、この記事の対象外です
  • 審理にかかる全体の期間は、最初の審問期日(1か月〜1か月半後)より先を確かめていません

次にやること

いまの状況 次にやること
まだ地主に話していない 契約書を読み、承諾を求める
地主が承諾しない 弁護士に相談し、19条の許可を検討する
手数料を見積もりたい 土地の固定資産評価証明書を取り、上の表で計算
相続税を払った 取得費の特例の期限を確認。相続の期限
相談先を比べたい 借地権の相談先

よくある質問

借地権は売却できますか?

売却できます。ただし土地の賃貸借で借りている場合、第三者に売るには地主の承諾が要ります(民法612条)。承諾が得られないときは、借地借家法19条1項の裁判所の許可を申し立てられます。

地主が承諾しないときの申立て手数料はいくらですか?

土地の固定資産評価額の2分の1を基礎に、民事訴訟費用等に関する法律の別表で計算します。借地が土地全部なら、評価額3,000万円で26,000円です。東京地裁では別に郵便切手6,000円(相手方1名)を予納します。

裁判所に申し立てたら、必ず第三者に売れますか?

いいえ。借地借家法19条3項により、地主が自分で買い取る申立て(介入権)をすることができ、その場合は裁判所が対価を定めます。

申立ては自分でできますか?

東京地裁の案内では、申立ては申立人が申立書を提出して行い、代理人を頼む場合は弁護士に限られます。一般的な法律相談には応じられないと書かれています。

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この記事で参照した一次資料

制度と法令についての記述は、上の資料にもとづきます。手続きの進み方や事業者の選び方など、資料で確かめられない部分は「編集部の見立て」として本文中で分けています。当サイトが資料を確認したのは 2026-09-14 です。
法令・制度は改正されます。手続きの前に、必ず最新の条文と担当する専門家の説明をご確認ください。

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この記事で使った法律の数字の出典

下の数字は、官公庁のページに書かれている内容です。制度は変わることがあるので、判断の前に一次情報を確かめてください。

出典の確認日: 2026-08-27

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