相続登記の義務化 相続登記、最短で2027年3月31日が期限です。2024年4月1日より前に相続したことを知った未登記の不動産は、原則2027年3月31日まで。正当な理由なく申請義務に違反すると、10万円以下の過料の対象となることがあります。

相続した不動産と、その後の手続きの台帳

共有名義の相続不動産は売れるのか|全員の同意が要る場合と、要らない場合

最終更新 2026-08-23

親が亡くなって実家を相続したとき、そのまま兄弟の共有名義になっていることがあります。 遺産分割の話がまとまらないまま時間が過ぎた場合や、法定相続分どおりに登記した場合です。

この状態で「売りたい」と思っても、話は簡単には進みません。 ただし、まったく身動きが取れないわけでもありません。 何ができて何ができないかは、はっきり分かれています。

先に結論

やりたいこと できるか 必要なもの
不動産の全体を売る 原則として共有者全員の同意が要る 全員の合意と署名・押印
自分の持分だけを売る 単独でできる 自分の意思のみ
建物を取り壊す 原則として全員の同意が要る 全員の合意
賃貸に出す(短期) 持分の過半数で決められる場合がある 持分の過半数
共有をやめる(分割を求める) 単独で請求できる 話し合い、まとまらなければ裁判所

「全体を売る」と「自分の持分を売る」はまったく別の話です。 ここが混ざると、「1人が反対しているから何もできない」と思い込んでしまいます。

1. 全体を売るには、原則として全員の同意が要る

共有の不動産は、1人ひとりが「持分」という割合を持っています。 兄弟3人で法定相続分どおりなら、3分の1ずつです。

その不動産そのものを丸ごと売る(処分する)には、原則として共有者全員の同意が必要です。 持分の多数決では決められません。3人のうち2人が賛成していても、 1人が反対していれば全体としては売れません。

これは「反対している人が悪い」という話ではなく、 自分の持っているものを勝手に処分されないという当たり前の仕組みです。 自分が反対側に回ったときにも、同じように守られます。

買主から見ると、こう見える

買う側から見ると、共有名義の不動産は契約の相手が複数いる状態です。 全員の署名と押印がそろわなければ、引き渡しができません。

そのため、共有者の1人でも連絡が取れない、遠方にいる、意思表示ができない、 といった事情があると、通常の仲介では取り扱いを断られることがあります。

2. 自分の持分だけなら、単独で売れる

一方で、自分の持分だけを売ることは、他の共有者の同意なしにできます。

ただし、買い手は限られます。 持分だけを買っても、その不動産を自由に使えるわけではないからです。 一般の買い手はまず付きません。

そこで、共有持分を専門に買い取る事業者が存在します。 持分を買い取ったうえで、他の共有者と交渉して全体の解決をはかる、という形です。

当サイトの台帳では、訳あり・共有持分・借地権の相談先に、 公式サイトで共有持分への対応を明示している事業者を記録しています。

持分だけを売るのは、最後の手段ではありません。 ただし、他の共有者との関係に影響します。 売る前に、まず全体での話し合いができないかを確かめる順番のほうが、後の負担は軽くなります。

3. 話がまとまらないときの選択肢

(1) まず「いくらで売れるか」を全員で共有する

話がまとまらない理由の多くは、金額の見当がついていないことです。

「安く買い叩かれる気がする」「まだ持っていたほうが得なのでは」という不安は、 具体的な数字がないと消えません。査定を取ることは、売ると決めることではありません。

複数社に同じ条件で聞けば、返ってくる金額の幅がそのまま判断材料になります。 相続した不動産を売る相談先に、査定の段階で完結する窓口をまとめています。

(2) 誰か1人が買い取る(代償分割)

1人が不動産を取得して、他の共有者にその分の金銭を支払う方法です。 実家に住み続けたい人がいる場合に選ばれます。

この場合も、いくらが妥当かを決めるには評価額が要ります。 相続税の計算とは別に、実際に売ったらいくらかを知っておくと話が進みます。

(3) 共有物分割請求

話し合いでまとまらない場合、共有者は単独で分割を請求できます。 協議が調わないときは裁判所の手続きになります。

時間も費用もかかるため、まずは (1)(2) を試す順番になります。 この段階の判断は法律の専門家の領域です。 専門家に相談するに、相続の手続きに対応する窓口を記録しています。

4. 売る前に、相続登記が済んでいるかを確認する

亡くなった方の名義のまま不動産を売却する場合、先に相続登記が必要です。

2024年4月から相続登記の申請が義務化されました。 2024年4月1日より前に相続したことを知った未登記の不動産は、原則2027年3月31日までが期限で、 正当な理由なく申請義務に違反すると、10万円以下の過料の対象となることがあります。

なお、相続人申告登記だけでは権利の移転が公示されないため、売却には別途相続登記が要ります。 「とりあえず申告だけしてある」状態は、義務は果たしていても売却の準備は済んでいません。

登記の手続きは司法書士の領域です。詳しくは宅建業の免許番号から読み取れることでも触れています。

5. 共有のまま持ち続けると何が起きるか

すぐに決めなくても構いません。ただし、時間が経つほど当事者が増えるという性質があります。

共有者の1人が亡くなると、その持分がさらに相続されます。 兄弟3人だった共有が、次の世代では6人、8人と増えていきます。 人数が増えるほど、全員の同意を取ることは難しくなります。

固定資産税と管理の負担も続きます。 建物が古くなれば、空き家の解体土地の活用も選択肢に入ってきます。

この記事でできていないこと

  • 個別の判断はしていません。持分の割合、遺言の有無、他の相続財産との兼ね合いで結論は変わります
  • 税務の計算はしていません。譲渡所得や特別控除の適用には要件があります。税理士にご確認ください
  • 制度の内容は一般的な説明です。具体的な手続きは司法書士・弁護士にご確認ください

次にやること

いまの状況に近いものから入ってください。

いまの状況 次にやること
全員で売る方向はそろっている 不動産の査定を取る
1人が反対している/連絡が取れない 共有持分に対応する窓口を見る
相続登記がまだ 専門家に相談する
そもそも何から決めればいいか分からない 実家を相続したとき、先に決まっていないと止まること

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