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地代と家賃は何が違うのか|借地借家法が分けている4つの点

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最終更新 2026-09-16

この記事でわかること

  • 先に結論:分かれているのは4か所、同じなのは1か所
  • 1. 増減を請求する条文が、別に置かれている
  • 2. もめたときの進み方は、同じ形
  • 3. いちばん大きな違い:期間を決めた契約で、増減請求が消えるかどうか
  • 4. 消費税の扱いが違う

土地を借りて家を建てている人が地主に払うのが地代、建物を借りている人が払うのが家賃です。どちらも「借りている物への支払い」なので、同じように扱われていると思われがちです。

けれど借地借家法は、この2つを別の条文に置いています。 この記事では、条文のどこで分かれているのかを、条文そのものを並べて確かめます。

先に結論:分かれているのは4か所、同じなのは1か所

論点 地代(土地) 家賃(建物)
増減を請求する条文 11条 32条
条文が使う言葉 地代又は土地の借賃 建物の借賃
比べる相手 近傍類似の土地 近傍同種の建物
消費税 原則非課税 事務所は課税
期間を決めた契約 増減請求は残る 特約で消える
もめたとき まず調停 まず調停

根拠: 借地借家法11条・32条・22条・38条9項/国税庁 No.6225/民事調停法24条の2

★いちばん大きいのは最後から2番目です。期間を決めた契約にしたとき、家賃は特約で増減請求が消えますが、地代にはその仕組みが条文に置かれていません。後で詳しく見ます。

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点の内訳と順位の決め方は総合ランキングに書いています。

1. 増減を請求する条文が、別に置かれている

値上げ・値下げを求める権利は、どちらにもあります。ただし条文が別です。

まず地代の側です。

地代又は土地の借賃(以下この条及び次条において「地代等」という。)が、土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができる。 ― 借地借家法11条1項

次に家賃の側です。

建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。 ― 借地借家法32条1項

★並べると、違いは3か所です。

条文の部分 11条(地代) 32条(家賃)
税の言い方 土地に対する租税その他の公課 土地若しくは建物に対する租税その他の負担
税の対象 土地だけ 土地と建物の両方
比べる相手 近傍類似の土地の地代等 近傍同種の建物の借賃

★家賃の側は、建物が建っている土地の税も理由にできます。条文が「土地若しくは建物に対する」と書いているためです。地代の側は「土地に対する」だけなので、建物の固定資産税は、条文が挙げる理由に入っていません。借地の建物は借地人の持ち物なので、地主の負担ではない、という筋です。

★比べる相手が違うことは、話し合いの材料が違うことを意味します。地代なら近くの似た土地の地代、家賃なら近くの同じような建物の家賃を持ち出すことになります。

2. もめたときの進み方は、同じ形

ここはそろえて作られています。2項と3項の作りが、11条と32条でほぼ同じ文になっています。

段階 地代(11条) 家賃(32条)
協議がまとまるまで 相当と認める額を払えば足りる 同じ
裁判で不足が確定 不足額に年1割の利息 同じ
減額を請求 もらいすぎは年1割で返還 同じ

★年1割という数字は、どちらの条文にも書かれています。推測ではありません。

訴える前の手続きも共通です。民事調停法は、地代と家賃の両方を名指しで挙げています。

借地借家法(平成三年法律第九十号)第十一条の地代若しくは土地の借賃の額の増減の請求又は同法第三十二条の建物の借賃の額の増減の請求に関する事件について訴えを提起しようとする者は、まず調停の申立てをしなければならない。 ― 民事調停法24条の2第1項

調停を経ずに訴えた場合は、受訴裁判所がその事件を調停に付さなければならないとも書かれています(同条2項)。

地代の側の手順と、払う額の決め方は地代の相場と更新料に詳しくまとめています。

3. いちばん大きな違い:期間を決めた契約で、増減請求が消えるかどうか

ここが、地代と家賃で決定的に違うところです。

家賃の側:特約があれば32条が消える

第三十二条の規定は、第一項の規定による建物の賃貸借において、借賃の改定に係る特約がある場合には、適用しない。 ― 借地借家法38条9項

38条1項の建物の賃貸借とは、更新がないことを定めた契約(定期建物賃貸借)です。その契約に借賃の改定についての特約があると、32条そのものが適用されません。 ★つまり、借りている側から家賃の減額を請求する道が、条文の上で閉じます。

地代の側:11条を消す規定が置かれていない

借地にも、更新がない類型があります。条文が何を適用しないと書いているかを並べます。

条文 適用しないもの
22条 9条・16条・更新・延長・13条
23条2項 3条〜8条・13条・18条
25条 3条〜8条・13条・17条・18条・22条〜24条

(22条が挙げているのは、9条・16条の規定、契約の更新、建物の築造による存続期間の延長、13条の買取請求です。条文そのままの書き方は、この記事の出典欄に載せています)

★どの条文にも、11条は挙げられていません。当サイトが e-Gov の条文で確認しました(2026-09-16)。条文を読むかぎり、借地の側には「地代の増減請求を特約で消す」仕組みが置かれていないことになります。

11条1項のただし書にある特約は、一定の期間地代等を増額しない旨の特約です。これは借地人に有利な方向の特約で、増減請求そのものを消すものではありません。32条1項のただし書も同じ作りです。

★ただし、この記事は条文の書き方を確かめただけです。実際の契約で地代の改定条項がどう扱われるかを示した裁判例は、当サイトは一次資料で確認できていません。契約書に地代の改定条項があるなら、弁護士に読んでもらってください。

4. 消費税の扱いが違う

国税庁のタックスアンサー No.6225 が、貸付けの種類ごとに書いています。

何を貸すか 消費税
土地 非課税
事務所などの建物 課税
住宅 非課税

出典: 国税庁 No.6225(令和8年4月1日現在法令等・2026-09-16確認)

土地の譲渡や貸付けは、消費税の課税の対象とならないこととされています(非課税取引) ― 国税庁 No.6225

★土地には例外があります。同じページは、貸付けに係る期間が1か月に満たない場合と、駐車場その他の施設の利用に伴って土地が使用される場合は非課税にならないと書いています。住宅の側にも、貸付期間が1か月に満たない場合などを除き非課税という書き方がされています。

★だから「地代に消費税は付かない」と覚えると、ずれることがあります。付かないのは建物を建てるために土地を貸しているときで、月極でない駐車場は別の扱いです。

5. 言葉の整理:条文が使う語と、契約書で使われる語

条文に出てくるのは、次の3つだけです。

条文の語 何を指すか
地代 土地を借りる対価
土地の借賃 同じ(11条が併記)
建物の借賃 建物を借りる対価

★「家賃」「賃料」「借地料」は、借地借家法の条文の語ではありません。日常語や契約書の表現です。そのため契約書に「賃料」と書かれているとき、それが土地の対価なのか建物の対価なのかを、契約書の中で確かめる必要があります。土地と建物をまとめて借りている契約では、どちらの条文が働くかが変わります。

6. 借地の地代でもめて、手放すことも考えるとき

当サイトに記録している会社のうち、借地権や底地を買い取ると公式サイトに掲げている2社です。

会社 公式サイトの表記 対応エリアの表記
借地権 無料相談ドットコム 借地権の買取専門。地主との交渉を代行 東京・神奈川・埼玉・千葉
訳あり物件買取センター 借地権・底地・共有持分・再建築不可に対応 東京・埼玉・千葉・神奈川

出典: 各社の公式サイト(借地権 無料相談ドットコム 2026-08-23確認・エリアは2026-09-06確認/訳あり物件買取センター 2026-08-31確認)

★どちらも首都圏です。それ以外の土地は、この2つの窓口の対象に入っていません。 ★どちらも買い取る会社で、地代の交渉そのものを代わりにやる窓口ではありません。「手放す」方向で考えるときの相談先として見てください。

手放し方は借地権の買取と借地権の売却に、土地の評価の見方は借地権割合とはにまとめています。期間が満了して更新がないときに建物を買い取らせる権利は建物買取請求権とは、借地権が付いた建物そのものの扱いは借地権付き建物で扱っています。

条件から窓口を選びたいときは状況から相談先を選ぶを使ってください。

関連する記事

この記事でしていないこと

  • 地代や家賃の相場の数字は書いていません。公の資料で確認できていないためです(地代の相場と更新料に理由を書いています)
  • 地代が家賃の何割か、という比較もしていません。同じ理由です
  • 地代の改定条項をめぐる裁判例は、一次資料で確認できていません
  • 借地上の建物を人に貸している場合(地主・借地人・建物の借主の三者)の扱いは、この記事では扱っていません
  • 消費税の課税事業者かどうかの判定や、税額の計算はしていません。税理士の領域です
  • あなたの契約でどちらの条文が働くかは、契約書を見ないと判断できません

次にやること

いまの状況 次にやること
契約書の「賃料」が何か分からない 契約書で土地と建物の別を確かめる
地代の値上げを言われた 地代の相場と更新料
話がまとまらない 簡易裁判所に調停を申し立てる
期間を決めた契約になっている 改定条項があるか読む
土地の評価を知りたい 借地権割合とは
手放すことも考えている 借地権の買取

よくある質問

地代と家賃は、法律上は同じものですか?

違います。借地借家法は、土地の対価を11条(地代又は土地の借賃)、建物の対価を32条(建物の借賃)として、別の条文に置いています。増減を請求できる理由も、比べる相手が近傍類似の土地と近傍同種の建物で違います。

地代に消費税はかかりますか?

国税庁 No.6225 は、土地の譲渡や貸付けは消費税の課税の対象とならないとしています。ただし貸付けに係る期間が1か月に満たない場合と、駐車場その他の施設の利用に伴って土地が使用される場合は非課税にならないと書かれています。自分の契約がどれに当たるかは税理士に確認してください。

期間を決めた契約だと、地代の値下げを頼めなくなりますか?

条文には、そうなる仕組みが置かれていません。 家賃の側には38条9項があり、更新がないことを定めた契約(定期建物賃貸借)に借賃の改定に係る特約があれば32条は適用されません。一方、借地の22条・23条2項・25条が適用しないと挙げているものの中に、11条は入っていません(当サイトが e-Gov の条文で確認・2026-09-16)。ただし契約書の改定条項がどう扱われるかは、条文だけでは決まりません。

値上げに納得できないとき、地代を払わなくてもいいですか?

払い続けてください。11条2項は、協議が調わないあいだは相当と認める額を払えば足りると定めています。家賃も32条2項で同じ作りです。裁判で不足が確定したときは、不足額に年1割の利息が付きます。

地代の争いは、いきなり裁判にできますか?

できません。民事調停法24条の2は、地代と家賃の両方について、訴えを起こそうとする者はまず調停を申し立てなければならないと定めています。調停を経ずに訴えた場合は、受訴裁判所がその事件を調停に付さなければなりません(同条2項)。

この記事に関係する相談先(区分「訳あり・共有持分・借地権」の台帳から)

当サイトが公式サイトの表記を確認して記録している会社です(名称順。区分の順位はランキングにあります)。

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この記事で参照した一次資料

  • e-Gov法令検索「借地借家法」(11条(地代等増減請求権。地代又は土地の借賃、近傍類似の土地、年1割の利息)・32条(借賃増減請求権。建物の借賃、近傍同種の建物、年1割の利息)・22条(定期借地権。排除の対象は9条・16条・契約の更新・建物の築造による存続期間の延長・13条の買取請求)・23条2項(事業用定期借地権等。3条から8条まで・13条・18条は適用しない)・25条(一時使用目的。3条から8条まで・13条・17条・18条・22条から24条までは適用しない)・38条9項(32条の規定は、定期建物賃貸借において借賃の改定に係る特約がある場合には適用しない)。★22条・23条2項・25条のいずれにも11条は挙げられていない(2026-09-16確認))
  • 国税庁 タックスアンサー No.6225「地代、家賃や権利金、敷金など」(土地の譲渡や貸付けは消費税の課税の対象とならない(非課税取引)。ただし貸付けに係る期間が1か月に満たない場合および駐車場その他の施設の利用に伴って土地が使用される場合は非課税にならない。事務所などの建物を貸し付ける場合の家賃は課税の対象。住宅の貸付けは貸付期間が1か月に満たない場合などを除き非課税(令和8年4月1日現在法令等/2026-09-16確認))
  • e-Gov法令検索「民事調停法」(24条の2第1項は「借地借家法第十一条の地代若しくは土地の借賃の額の増減の請求又は同法第三十二条の建物の借賃の額の増減の請求」と定め、地代と家賃の両方を調停の前置の対象にしている。2項は調停を経ずに訴えた場合、受訴裁判所が事件を調停に付さなければならないと定める(2026-09-16確認))

制度と法令についての記述は、上の資料にもとづきます。手続きの進み方や事業者の選び方など、資料で確かめられない部分は「編集部の見立て」として本文中で分けています。当サイトが資料を確認したのは 2026-09-16 です。
法令・制度は改正されます。手続きの前に、必ず最新の条文と担当する専門家の説明をご確認ください。

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