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建物買取請求権とは|13条と14条は別の権利。特約で消せる場合も条文にある

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最終更新 2026-09-16

この記事でわかること

  • 先に結論:2つの条文の違い
  • 13条:期間が満了して、更新がないとき
  • 13条2項:承諾なく建てた建物は、支払を待たされることがある
  • 14条:建物を買った第三者が使う条文
  • 16条:普通の借地なら、不利な特約は無効

建物買取請求権を調べると、「借地の契約が終わったら建物を地主に買い取ってもらえる権利」という説明が並びます。

ただ、この権利は借地借家法の13条と14条に、別々に置かれています。 請求できる人が違い、使える場面も違います。そして条文のとおりに外せる契約の型もあります。

この記事では、条文に書いてあることだけを整理します。

先に結論:2つの条文の違い

論点 13条 14条
請求する人 借地権者 建物を取得した第三者
請求される人 借地権設定者(地主) 同じ
使える場面 期間が満了し更新がない 地主が譲渡や転貸を承諾しない
買取の値段 時価 時価
不利な特約 無効(16条) 無効(16条)
外せる契約 ある(22条・23条・25条) 22条・23条1項で更新と併せて

★「建物買取請求権」という1つの権利ではありません。自分がどちらの立場かで、読む条文が変わります。

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13条:期間が満了して、更新がないとき

まず条文です。

借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。 ― 借地借家法13条1項

★条件は2つそろってはじめて使えます。期間が満了したこと、そして更新がないことです。

借地は、建物が建っていれば期間が来ても契約が続くのが原則です。地主が更新を拒むには正当の事由が要ります。つまり13条の出番は、更新されなかった場合に限られます。更新の仕組みは地代の相場と更新料にまとめています。

もう1つ、見落とされやすい点があります。買取の対象は建物だけではありません。

条文は「建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物」と書いています。権原にもとづいて土地に付けたものが含まれる、という書き方です。

★13条1項・2項は、転借地権者と地主の間にも準用されます(同条3項)。借地人から土地を借りている立場でも、条文の上では同じ道があります。

13条2項:承諾なく建てた建物は、支払を待たされることがある

13条には、地主の側から使える2項があります。

前項の場合において、建物が借地権の存続期間が満了する前に借地権設定者の承諾を得ないで残存期間を超えて存続すべきものとして新たに築造されたものであるときは、裁判所は、借地権設定者の請求により、代金の全部又は一部の支払につき相当の期限を許与することができる。 ― 借地借家法13条2項

★ここで裁判所ができるのは「期限を延ばすこと」です。買取そのものを断れる、とは書かれていません。値段を下げられる、とも書かれていません。

当てはまるのは、残存期間を超えて存続すべきものとして、地主の承諾を得ないで新しく建てた場合です。借地の途中で建て替えたときに、この条文が関係してきます。

14条:建物を買った第三者が使う条文

13条とよく混同されるのが14条です。

第三者が賃借権の目的である土地の上の建物その他借地権者が権原によって土地に附属させた物を取得した場合において、借地権設定者が賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、その第三者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原によって土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。 ― 借地借家法14条

★使うのは、建物を手に入れた第三者です。そして期間の満了は条件になっていません。 地主が譲渡や転貸を承諾しないために、土地を使えない状態になった人のための条文です。

立場 状況 読む条文
借地人 期間満了・更新なし 13条
借地人 まだ期間中・売りたい 19条
買った人 承諾が出ない 14条
競売の買受人 承諾が出ない 20条

16条:普通の借地なら、不利な特約は無効

条文には、特約を無効にする定めがあります。

第十条、第十三条及び第十四条の規定に反する特約で借地権者又は転借地権者に不利なものは、無効とする。 ― 借地借家法16条

★契約書に書いてあっても、無効になることがある、というのが16条の意味です。 13条と14条だけでなく、10条(借地権の対抗力)も同じ扱いです。

対象は借地権者または転借地権者に不利なものです。借地人に有利な特約を無効にする条文ではありません。

ただし、条文のとおりに外せる契約がある

16条があるので「特約では消せない」と読みたくなります。ところが22条以下に、外せる型が書かれています。 ここが、13条の説明でいちばん抜けやすいところです。

契約の型 期間 13条の扱い 形式
定期借地権(22条) 50年以上 しない旨を定められる 書面・公正証書等
事業用(23条1項) 30年以上50年未満 しない旨を定められる 公正証書
事業用(23条2項) 10年以上30年未満 適用しない 公正証書
一時使用(25条) — 適用しない —

22条は、はっきりこう書いています。

存続期間を五十年以上として借地権を設定する場合においては、第九条及び第十六条の規定にかかわらず、契約の更新…及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第十三条の規定による買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。 ― 借地借家法22条1項

★「第九条及び第十六条の規定にかかわらず」と書いてあります。16条を外す根拠が、条文そのものに置かれている形です。この特約は公正証書による等書面でしなければならないとされ、内容を記録した電磁的記録でされたときは書面とみなされます(同条2項)。

23条2項の型は、さらに強い書き方です。特約を置くかどうかに関わらず、13条を適用しないと定めています。 23条1項・2項の契約は公正証書によってしなければならないとされています(同条3項)。

★だから、自分の契約がどの型かを先に確かめる必要があります。公正証書で結んだ契約なら、13条が外されている可能性があります。契約書と、公正証書があるかどうかを手元に出してから読んでください。

なお24条には建物譲渡特約付借地権という型もあります。設定後30年以上を経過した日に、建物を相当の対価で地主に譲渡する旨を定められる契約です。 13条の買取請求とは別の仕組みで、あらかじめ譲渡を約束しておく形です。

「時価」はいくらなのか

13条も14条も、値段を時価と書くだけで、額の決め方は書いていません。

★当サイトは、建物買取請求の時価の水準を示す公の資料を確認できていません。だから「築◯年ならいくら」という数字は書きません。

条文から分かるのは、誰が関わるかです。 19条・20条の許可を裁判所が出すときは、特に必要がないと認める場合を除き、鑑定委員会の意見を聴かなければならないとされています(19条6項、20条2項で準用)。土地と建物の値段は、専門家の意見を通して決まる作りになっています。

段階 何をするか
1 契約書と公正証書の有無を確かめる
2 地主と話し合う
3 額が折り合わなければ裁判所へ

売りたいだけなら、13条ではなく19条

期間はまだ残っているが、借地上の建物を売りたい。この場合に読むのは13条ではありません。

借地権者が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において、その第三者が賃借権を取得し、又は転借をしても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。 ― 借地借家法19条1項

★承諾がもらえないときに、裁判所の許可で代える道です。 このとき裁判所は、賃借権の残存期間・借地に関する従前の経過・譲渡や転貸を必要とする事情などを考慮しなければならないとされています(同条2項)。

19条には、地主の側から使える3項があります。裁判所が定める期間内に地主が自ら建物と賃借権を受ける旨の申立てをしたときは、裁判所は相当の対価と転貸の条件を定めて、これを命ずることができると書かれています。

★つまり「売りたい」と申し立てたら、買い手が地主になることがあります。

競売や公売で建物を取得した場合は20条です。こちらには期限があります。

第一項の申立ては、建物の代金を支払った後二月以内に限り、することができる。 ― 借地借家法20条3項

★代金を払った後2か月以内です。この条文には、民事調停法19条の規定を準用する定めも置かれています(同条4項)。民事調停の期限の考え方は地代の相場と更新料で触れています。

相談先:借地の権利を扱うと公式に書いている会社

当サイトに記録している会社のうち、借地権を扱うと公式サイトに掲げている2社です。

会社 公式サイトの表記 対応エリアの表記
借地権 無料相談ドットコム 借地権の買取専門。地主との交渉を代行 東京・神奈川・埼玉・千葉
訳あり物件買取センター 借地権・再建築不可・共有持分に対応 東京・埼玉・千葉・神奈川

出典: 各社の公式サイト(借地権 無料相談ドットコム 2026-08-23確認/訳あり物件買取センター 2026-08-31確認)

  • 借地権 無料相談ドットコムは、宅地建物取引業の免許を東京都知事免許(3)第99010号と会社概要に記載しています
  • 訳あり物件買取センターは東京都知事免許(4)第92862号と記載しています

★どちらも全国対応ではありません。対応エリアは首都圏です。それ以外の土地は、この2社の対象に入っていません。 ★どちらも買い取る会社です。地主との裁判を代わりに起こしてくれる窓口ではありません。手放す方向で考えるときの相談先として見てください。手放し方は借地権の買取と借地権の売却に、評価の考え方は借地権割合とはにまとめています。

関連する記事

借地の出口は、期間が満了するときと、期間の途中で売るときで別の話になります。

この記事でしていないこと

  • 時価の水準(築年数ごとの金額や、割合の目安)は書いていません。公の資料で確認できなかったためです
  • 裁判例は挙げていません。建物買取請求権について、当サイトは判決文を一次資料で確認できていません
  • 平成4年8月1日より前の契約に適用される法律の話は扱っていません。旧法の条文を確認できていないためです。契約年が古い場合は弁護士に確認してください
  • 申立ての手数料や、鑑定委員会にかかる費用は確認できていません
  • あなたの建物が13条の対象になるかどうかは判断できません。契約の型と更新の経過で変わります
  • 定期借地権そのもの(何年で終わるか、住むのに向くか)は、この記事では扱っていません

次にやること

いまの状況 次にやること
期間の満了が近い 契約書で期間と更新の条項を読む
公正証書で契約した 13条が外れていないかを確かめる
更新を断られた 13条の請求ができるか整理する
建物を売りたい 19条の許可の道を調べる
競売で建物を買った 代金支払後2か月の期限を確認する
手放すことも考えている 借地権の買取
地代でもめている 地代の相場と更新料

よくある質問

建物買取請求権とは何ですか?

借地借家法13条と14条にある、建物を時価で買い取るよう求める権利です。 13条は借地権者が、期間が満了して更新がないときに地主へ請求するものです。 14条は建物を取得した第三者が、地主が譲渡や転貸を承諾しないときに請求するものです。2つは別の条文です。

契約書に「建物買取請求はしない」と書いてあります。有効ですか?

契約の型によります。16条は、13条・14条に反する特約で借地権者または転借地権者に不利なものを無効と定めています。ただし22条の定期借地権と23条1項の事業用定期借地権は、9条及び16条の規定にかかわらず買取請求をしない旨を定められると書かれています。23条2項の型は13条を適用しないと定めています。 ★まず、公正証書で結んだ契約かどうかを確かめてください。

期間が満了すれば、必ず買い取ってもらえますか?

いいえ。13条1項は「契約の更新がないとき」を条件にしています。 建物が建っていれば契約が続くのが原則で、その場合は13条の出番がありません。

途中で建て替えた建物でも請求できますか?

条文は、請求できないとは書いていません。ただし13条2項は、地主の承諾を得ないで残存期間を超えて存続すべきものとして新築した場合には、裁判所が地主の請求により代金の支払期限を許与できると定めています。すぐに全額が支払われるとは限らない、ということです。

期間が残っているうちに建物を売りたいときは?

13条ではなく19条です。地主が承諾しないとき、裁判所が承諾に代わる許可を与えることができます。ただし19条3項により、地主が自ら建物と賃借権を受ける旨を申し立てると、裁判所が相当の対価を定めてそれを命ずることがあります。

競売で借地上の建物を買いました。いつまでに動けばよいですか?

建物の代金を支払った後2か月以内です(20条3項)。 20条1項は、譲渡を承諾しない地主に対して、裁判所が承諾に代わる許可を与えられると定めています。★期限が短いので、先に期限を確認してください。

この記事に関係する相談先(区分「訳あり・共有持分・借地権」の台帳から)

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この記事で参照した一次資料

  • e-Gov法令検索「借地借家法」(9条(強行規定)・10条(借地権の対抗力)・11条(地代等増減請求権)・13条(建物買取請求権。1項は更新がないとき、2項は承諾なく残存期間を超えて存続すべきものとして新築した建物、3項は転借地権者への準用)・14条(第三者の建物買取請求権)・15条(自己借地権)・16条(10条・13条・14条に反する特約で借地権者または転借地権者に不利なものは無効)・19条(賃借権の譲渡・転貸の許可。3項は借地権設定者の申立て、6項は鑑定委員会の意見)・20条(競売・公売の場合の許可。3項は代金支払後2月以内)・22条(定期借地権。9条・16条にかかわらず13条の買取請求をしない旨を定められる)・23条(事業用定期借地権等。1項は30年以上50年未満、2項は10年以上30年未満で13条を適用しない、3項は公正証書)・24条(建物譲渡特約付借地権)・25条(一時使用目的の借地権には13条を適用しない)(2026-09-16確認))

制度と法令についての記述は、上の資料にもとづきます。手続きの進み方や事業者の選び方など、資料で確かめられない部分は「編集部の見立て」として本文中で分けています。当サイトが資料を確認したのは 2026-09-16 です。
法令・制度は改正されます。手続きの前に、必ず最新の条文と担当する専門家の説明をご確認ください。

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