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この記事でわかること
親の家が借地に建っていて、相続税の話になったとき、「借地権割合」という言葉が出てきます。路線価図の数字の後ろにあるA〜Gのアルファベットのことです。
この割合は、国税庁が相続税・贈与税で借地権を評価するために、地域ごとに定めたものです。何に使う割合で、何に使う割合ではないのか。借地権とは何か、地上権とどう違うのかも合わせて整理します。
| 記号 | A | B | C | D | E | F | G |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 割合 | 90% | 80% | 70% | 60% | 50% | 40% | 30% |
出典: 国税庁「路線価図の説明」
| 評価するもの | 計算 | 出典 |
|---|---|---|
| 借地権 | 自用地の価額×借地権割合 | No.4611 |
| 底地(貸宅地) | 自用地の価額-借地権の価額 | No.4613 |
★「自用地としての価額」は、他人の権利が付いていない土地(いわゆる更地)としての価額です(No.4611)。 ★定期借地権は、この計算になりません。No.4611 は定期借地権等を別の方法で評価すると書いています。
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国税庁は、借地権割合を「借地事情が似ている地域ごとに定められており、路線価図や評価倍率表に表示されています」と説明しています(No.4611)。
| 土地のある地域 | 載っている場所 |
|---|---|
| 路線価のある地域 | 路線価図の、数字の後ろの記号 |
| 倍率地域 | 評価倍率表の「借地権割合」欄 |
どちらも国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で見られます。都道府県→市区町村→町丁名の順に選びます。 ★年分を選べます。相続税なら、亡くなった日の年分を開いてください。
国税庁の説明では、「215D」は1平方メートル当たりの路線価が215,000円で、借地権割合が60%です。数字は千円単位、アルファベットが借地権割合です。
★路線価図の地図に「倍率地域」と書いてあれば、評価倍率表を見ます。路線価図の引き方と、奥行や形の補正は土地の相続税評価額の調べ方にまとめています。
国税庁「路線価図の説明」の計算例を使います。路線価「300C」、奥行35メートル、700平方メートルの土地です。
★同じ土地を、借りている人と貸している人とで分けて評価する形です。借地権割合が高い地域ほど、借りている側の評価が大きくなります。 ★No.4613 は、借地権の取引慣行がないと認められる地域の貸宅地は、借地権割合を20%として計算すると書いています。
国税庁が借地権割合を説明しているのは、相続税・贈与税の財産評価の中です(No.4611 の対象税目は相続税・贈与税)。 地域ごとに定められているので、あなたの借地の契約の中身(残りの期間、地代の額、地主が譲渡を承諾するか)は、この割合に入っていません。
★「借地権割合が70%だから、70%で売れる」とは読まないでください。売るときの数字は、買取業者や不動産会社の提示額を複数並べて確かめます。売り方は借地権の売却、買い取ってもらう相手の選び方は借地権の買取にあります。
借地借家法2条1号は、借地権を次のように定めています。
借地権 建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう。 ― 借地借家法2条1号
つまり借地権は、建物を建てて持つために土地を使う権利で、中身は地上権か土地の賃借権のどちらかです。
| 地上権 | 土地の賃借権 | |
|---|---|---|
| 民法の規定 | 265条 | 601条 |
| 条文の中身 | 他人の土地で工作物などを所有するため使う権利 | 賃料を払って物を使う契約 |
| 612条(承諾) | 賃借権の規定 | 地主の承諾が要る |
| 承諾に代わる許可 | — | 借地借家法19条 |
★民法612条の「地主の承諾」は、賃借権についての規定です。契約書に「賃貸借」とあるか、「地上権設定」とあるかを確かめてください。東京地裁の案内も、19条の許可を「借地契約が土地の賃貸借契約の場合」の手続きとして説明しています。
東京地裁は、土地を借りる契約を土地賃貸借契約(地代を支払うもの)・土地使用貸借契約(無料で使わせてもらうもの)・地上権設定契約の3つに分けています。そのうえで、借地非訟が扱う借地権は「建物の所有を目的とする土地賃貸借契約又は地上権設定契約」だと書いています。
★親の土地に子が無料で家を建てているような場合は、使用貸借(民法593条)で、借地借家法の借地権には当たりません。借地権割合を使った評価とは話が別です。
借地権付き建物は、借地の上に建っている建物を、借地権と一緒に扱うときの呼び方です。借地借家法10条は、借地権の登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、借地権を第三者に対抗できると定めています。
★相続したら、建物の登記名義を相続人に移しておくことが、借地権を守ることにもつながります。承諾の要否は借地権の相続にまとめました。
底地を売る・買うときの価格の考え方は、底地の買取価格にまとめています。
| いまの状況 | 次にやること |
|---|---|
| 借地権割合を調べたい | 財産評価基準書で、亡くなった年分の路線価図を開く |
| 地図に「倍率地域」とある | 評価倍率表の「借地権割合」欄を見る |
| 相続税の評価額を出したい | 土地の評価額の調べ方で補正まで計算 |
| 借地権を相続したばかり | 承諾の要否を借地権の相続で確認 |
| 借地権を手放したい | 売却と買取の相手を読み、相談先へ |
国税庁が、相続税・贈与税で借地権を評価するために、借地事情が似ている地域ごとに定めた割合です(No.4611)。路線価図ではA〜Gの記号(A:90%、B:80%、C:70%、D:60%、E:50%、F:40%、G:30%)で、倍率地域では評価倍率表の「借地権割合」欄で示されます。
自用地としての価額×借地権割合です(No.4611)。国税庁の計算例では、自用地としての価額2億370万円、借地権割合70%で、借地権の価額は1億4,259万円です。定期借地権等は別の方法で評価します。
借地権は「建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権」です(借地借家法2条1号)。地上権は借地権の中身の1つです。土地の賃借権を売るには地主の承諾が要り(民法612条)、得られないときは借地借家法19条の許可を申し立てられます。
地主との合意で決まります。相続税・贈与税の評価では、底地(貸宅地)は「自用地としての価額-自用地としての価額×借地権割合」で計算しますが(No.4613)、これは税の評価のための算式です。
そうとは限りません。借地権割合は地域ごとの評価のための割合で、残りの期間や地代、地主の承諾といった個々の契約の中身は入っていません。売るときは、複数の買取業者や不動産会社の提示額を比べてください。
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