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相続した実家・土地・お墓の相談先

事故物件の告知義務|「3年たてば言わなくていい」は賃貸の話。売買に年限はない

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最終更新 2026-09-16

この記事でわかること

  • 先に結論:告げる義務はこう分かれる
  • 「概ね3年」は賃貸借の項目に置かれている
  • 自然死は「9割」という数字が根拠になっている
  • 告げるとき、どこまで言うのか
  • 義務を負うのは誰か。ここが分かれ目です

相続した実家で、親が亡くなっていた。それを買う人に言わなければいけないのか——売る前にいちばん気になるところだと思います。

結論から言うと、「3年たてば言わなくていい」は賃貸の話です。 国土交通省のガイドラインで「概ね3年」が出てくるのは賃貸借取引の項目だけで、売買に同じ年限は置かれていません。

先に結論:告げる義務はこう分かれる

何があったか 売買での扱い 根拠
老衰・病死などの自然死 原則、告げなくてよい ガイドライン4(1)①
階段からの転落・入浴中の溺死・誤嚥 原則、告げなくてよい 同上
上記でも特殊清掃が入った 告げる側に回る ガイドライン4(1)①ただし書
自死・他殺など 告げる(重要な影響を及ぼす場合) ガイドライン4(2)
買主から聞かれた 期間や死因に関わらず告げる ガイドライン4(3)

★「何年たったか」より先に、「特殊清掃が入ったかどうか」で道が分かれます。

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「概ね3年」は賃貸借の項目に置かれている

ガイドラインで3年が出てくるのは、この見出しです。

②賃貸借取引の対象不動産において①以外の死が発生又は特殊清掃等が行われることとなった①の死が発覚して、その後概ね3年が経過した場合 ― 国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」(令和3年10月)

見出しの最初に「賃貸借取引の」と書かれています。 ①(自然死など)と③(隣の住戸や共用部分)は「賃貸借取引及び売買取引」と併記されているのに、②だけが賃貸借に限られている——これがガイドラインの作りです。

★売買について、いつまで告げるべきかの年限は示されていません。当サイトが原文を通して読んだ範囲では、期間を区切る記述は賃貸借の項目にしかありませんでした。

特殊清掃そのものの中身と、業者の選び方は特殊清掃の業者はどう選ぶかにあります。

自然死は「9割」という数字が根拠になっている

ガイドラインが自然死を原則対象外とした理由には、統計が引かれています。

統計においても、自宅における死因割合のうち、老衰や病死による死亡が9割を占める一般的なものである。 ― 同ガイドライン 4(1)①

注として、人口動態統計(令和元年)の自宅での死亡者数188,191人から傷病及び死亡の外因16,174人を控除した割合、と示されています。

告げるとき、どこまで言うのか

「全部話さないといけない」と思われがちですが、ガイドラインは告げる範囲を限っています。

告げるもの 告げる必要がないもの
事案の発生時期 亡くなった方の氏名
場所 年齢・住所
死因(不明ならその旨) 家族構成
特殊清掃が行われた旨 具体的な死の態様・発見状況

出典: 同ガイドライン 4(2)・4(4)(2026-09-16確認)

★亡くなった方とご遺族の名誉と生活の平穏に配慮する、と明記されています。詳しく語る必要はありません。また、書面の交付等によることが望ましいとされています。口頭で済ませないほうが、後で揉めません。

義務を負うのは誰か。ここが分かれ目です

ガイドラインは宅地建物取引業者の義務の解釈を示したものです。では、売主である自分は関係ないのか——そうではありません。

売主・貸主は、把握している事実について、取引の相手方等である買主・借主に対して告知する必要があり、過去の裁判例に照らせば…信義則上、これを取引の相手方等に告知すべき義務の有無が判断されている ― 同ガイドライン 1(1)①

さらに、業者側には自発的に調べる義務はありません。

人の死に関する事案が生じたことを疑わせる特段の事情がないのであれば、人の死に関する事案が発生したか否かを自発的に調査すべき義務までは宅地建物取引業法上は認められない ― 同ガイドライン 3(1)

仲介する業者は、売主に告知書(物件状況等報告書)への記載を求めることで調査義務を果たしたものとされ、そこに書かれなかった事案が後で判明しても、重大な過失がない限り業者の調査は適正だったと扱われます。

★つまり、告知書に書かなければ、責任は売主に残ります。隠して売った場合、「責任を負わない」特約を付けていても、知りながら告げなかった事実の責任は免れません(民法572条)。買主は不適合を知った時から1年以内に通知すれば、修補や代金の減額、損害賠償、解除を求められます(民法562条・566条)。

業者の側も、判断に重要な影響を及ぼす事項について故意に事実を告げない行為は宅地建物取引業法47条1号で禁じられています。

相続した家を売るときの順番

順 やること 見るところ
1 何があったかを書き出す 時期・場所・死因・特殊清掃の有無
2 分からないことは「不明」と書く 推測で埋めない
3 告知書に記載する 口頭で終わらせない
4 扱える会社を選ぶ 対応エリアと免許番号
5 提示額を2社以上で比べる 査定額か買取の提示額か

家財や残置物が残っているなら、先に実家の処分を見てください。仲介と買取のどちらで売るかは仲介と買取は何が違うかに、業者に売るときの注意は空き家の買取にまとめています。

扱える会社は限られる

当サイトに記録している中で、事故物件の買取を公式サイトに掲げているのは次の1社です。

項目 訳あり物件買取センターの表記
会社のページ 訳あり物件買取センター
買取対象 空き家・借地権・再建築不可・事故物件・共有持分・底地
対応エリア 東京・埼玉・千葉・神奈川
宅建業の免許 東京都知事(4)第92862号

出典: 同社公式サイト(買取対象の表記は2026-09-16確認、その他は2026-08-31確認)

★対応エリアは全国ではありません。公式サイトには「東京、埼玉、千葉、神奈川」という説明文と、「東京(地域密着)」という査定対象エリアの欄の2つの表記があります。 ★売却後の不具合の責任をどう扱うかは、公式サイトに書かれていません(2026-08-31確認)。契約不適合責任を免除する契約かどうかは、見積もりの段階で書面で確かめてください。

免許番号の読み方は宅建業の免許番号の確かめ方に、ほかの訳あり物件を扱う会社は訳あり物件・共有持分・借地権の買取業者にあります。

この記事でできていないこと

  • 事故物件が何割下がるかは書いていません。当サイトが確認した一次資料に、下落率を示すものが無かったためです。競合の記事に出てくる「3割」などの数字は、出典が示されていません
  • 賃貸に出す場合の扱いは深く扱っていません。この記事は売買の話です
  • 建物を取り壊した後の土地取引の扱いは書けません。ガイドラインが「一般的に妥当と整理できるだけの裁判例や実務の蓄積がなく、現時点では対象としていない」と明記しているためです(同 5)
  • 搬送先の病院で亡くなった場合と転落で亡くなった場合の落下開始地点も、同じ理由でガイドラインの対象外です
  • 個別の事案が「告げるべきか」の判断はしていません。事件性や周知性で変わります
  • オフィスなど居住用以外の不動産は、ガイドラインの対象外です(同 2(2))

次にやること

いまの状況 次にやること
何があったか分からない 分かる範囲を書き出し、不明は「不明」と記録
特殊清掃が入った 告げる側に回る。業者の選び方
家財が残っている 実家の処分
一般の仲介で断られた 扱える買取業者
売り方を決めていない 仲介と買取の違い

よくある質問

事故物件は3年たてば告知しなくてよいのですか?

賃貸の話です。ガイドラインで「概ね3年」が出てくるのは賃貸借取引の項目で、売買に同じ年限は置かれていません。売買では、事件性や周知性などを踏まえて、買主の判断に重要な影響を及ぼす場合は告げることになります。

親が病気で亡くなった実家も、事故物件になりますか?

老衰や病死などの自然死は、原則として告げなくてよいとされています(ガイドライン4(1)①)。ただし発見が遅れて特殊清掃や大規模リフォームが行われた場合は別で、告げる側に回ります。

どこまで詳しく説明する必要がありますか?

発生時期・場所・死因・特殊清掃が行われた旨までです。氏名・年齢・住所・家族構成・具体的な死の態様・発見状況は告げる必要はないとガイドラインに明記されています(4(4))。

黙って売ったら、どうなりますか?

「責任を負わない」特約を付けていても、知りながら告げなかった事実の責任は免れません(民法572条)。買主は不適合を知った時から1年以内に通知すれば、修補・代金の減額・損害賠償・契約の解除を求められます(民法562条・566条)。

更地にすれば、告知しなくてよくなりますか?

ガイドラインには書かれていません。建物を取り壊した後の土地取引の扱いは、裁判例や実務の蓄積がないため現時点では対象としていないと明記されています(同 5)。「更地にすれば不要」と読める記述は、当サイトでは確認できませんでした。

この記事に関係する相談先(区分「訳あり・共有持分・借地権」の台帳から)

当サイトが公式サイトの表記を確認して記録している会社です(名称順。区分の順位はランキングにあります)。

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この記事で参照した一次資料

  • 国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」(令和3年10月)(4(1)①自然死・日常生活の中での不慮の死は原則告げなくてよい/②「概ね3年」は賃貸借取引の項目/4(2)告げる内容は発生時期・場所・死因・特殊清掃の有無/4(4)氏名・年齢・住所・家族構成・具体的な死の態様・発見状況は告げる必要はない・書面の交付が望ましい/2(2)対象は居住用不動産/3(1)業者に自発的な調査義務はない/5 取り壊した後の土地取引は対象としていない(2026-09-16確認))
  • e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」(35条(重要事項の説明)・47条1号ニ(判断に重要な影響を及ぼす事項について故意に事実を告げない行為の禁止)(2026-09-16確認))
  • e-Gov法令検索「民法」(562条(種類・品質の不適合と追完請求)・566条(不適合を知った時から1年以内の通知)・572条(責任を負わない旨の特約をしても、知りながら告げなかった事実の責任は免れない)(2026-09-16確認))

制度と法令についての記述は、上の資料にもとづきます。手続きの進み方や事業者の選び方など、資料で確かめられない部分は「編集部の見立て」として本文中で分けています。当サイトが資料を確認したのは 2026-09-16 です。
法令・制度は改正されます。手続きの前に、必ず最新の条文と担当する専門家の説明をご確認ください。

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