相続した不動産と、その後の手続きの台帳
相続した不動産の「仲介」と「買取」は何が違うか
相続した不動産を売る方法には、大きく仲介と買取の2つがあります。 どちらを選ぶかで、手に入る金額も、かかる時間も、売った後の責任も変わります。
相談先の公式サイトを見ると、この2つは同じ「売却」という言葉でまとめられていることが多く、 どちらを扱う会社なのかがすぐには分からないことがあります。
2つの違い
| 仲介 | 買取 | |
|---|---|---|
| 買う相手 | 一般の買主 | 不動産会社が直接 |
| 価格 | 相場に近い | 相場より低くなるのが一般的 |
| かかる期間 | 買主が見つかるまで | 短い。即日を掲げる会社もある |
| 内見 | 買主が来る | 原則なし |
| 仲介手数料 | かかる(無料を掲げる会社もある) | 原則かからない |
| 売却後の責任 | 契約不適合責任を負うのが原則 | 免責を掲げる会社がある |
相続では「売却後の責任」が効いてくる
仲介で売った場合、売主は契約不適合責任を負うのが原則です。 引き渡した後に雨漏りやシロアリなどが見つかると、修補や代金減額を求められることがあります。
ところが相続した実家は、売主自身が住んだことがないことが珍しくありません。 建物の状態を売主が把握していないまま売ることになります。
このため、買取を扱う会社の中には売却後の責任を負わせないことを明記しているところがあります。 当サイトの台帳では、たとえば次のような表記が公式サイトに掲載されています。
- 「買取り後の売主様責任なし」
- 「売却後の不具合に対する責任は一切無し」
これは価格が下がることの見返りです。どちらが得かは、建物の状態と、 自分がその状態をどれだけ把握しているかで変わります。
相続の場面では、買取が選ばれやすい条件がある
次のような不動産は、一般の買主が見つかりにくいため、買取が現実的な選択肢になります。
- 共有持分(相続人の1人の持分だけ)
- 借地権(土地を借りている状態の建物)
- 再建築不可(現在の法令では建て替えられない土地)
- 事故物件(孤独死・自殺などがあった物件)
- ゴミ屋敷の状態
- 築年数が古く、傷みが進んでいる建物
当サイトの台帳には、これらを専門に扱うと公式サイトに明記している会社が含まれています。 「他社で断られた」場合の受け皿として位置づけているところもあります。
孤独死は相続と直接つながります。親が一人暮らしのまま亡くなり、発見が遅れた実家は、 一般の売却ルートでは扱いが難しくなります。
どちらを扱う会社かは、公式サイトで確認できる
台帳に載せている会社が仲介と買取のどちらを扱うかは、 各社のページに公式サイトの表記のまま記録しています。
読むときに見ておくとよい点が3つあります。
1. 「買取」と書いてあるか「仲介」と書いてあるか
サイトの見出しが「不動産売却」でも、中身は仲介だけということがあります。 逆に買取専門で、仲介は扱わない会社もあります。
両方に対応すると明記している会社もあります。相続の場合、 最初は仲介で試して、売れなければ買取に切り替える、という進め方が取れるためです。
2. 「買取より仲介が有利ならそう提案する」と書いてあるか
台帳の中には、公式サイトに買取よりも仲介で個人向けに販売するほうが 売主にとって金額的メリットが大きいと判断すれば、正直にそう提案すると 明記している会社があります。
こう書けるのは、両方を扱っている会社だけです。 買取専門の会社は、仲介を勧めると自社の商売がなくなるため、この一文を書けません。
書いてあるかどうかは、公式サイトを読めば確認できます。
3. 仲介手数料をどう扱うか
仲介では通常、売主と買主の双方から手数料を取る「両手仲介」が一般的です。 台帳の中には、片方からしか取らない「片手仲介」であることを明示している会社や、 仲介手数料無料を掲げている会社があります。
ただし手数料無料の会社は、対応エリアが限定されていることがあります。 当サイトの調査では、対応エリアを自社について明示している会社は台帳の中では少数でした。 実際の社数と該当社は情報開示の調査に掲載しています。
価格は「査定額」ではなく「手取り」で比べる
複数社に相談したあと、査定額の数字だけを並べても比べたことになりません。
手取りで比べます。
手取り = 売却価格
− 仲介手数料
− 解体費用(更地にする場合)
− 測量費用(境界が確定していない場合)
− 譲渡所得税
− その他の実費
査定額がいちばん高い会社が、手取りでもいちばん高いとは限りません。 仲介手数料が無料でも、売却価格自体が低ければ手取りは下がります。
譲渡所得税については、相続した不動産に適用できる特例があります。 適用の可否は個別の事情で変わるため、税理士または税務署に確認してください。 当サイトは公式サイトの記載を記録する台帳であり、税務の判断は行いません。
まとめ
- 仲介は価格が高くなりやすいが時間がかかり、売却後の責任を負う
- 買取は価格が低くなりやすいが早く、責任の免責を掲げる会社がある
- 相続では、共有持分・借地権・再建築不可・事故物件など、買取が現実的になる条件がある
- どちらを扱う会社かは公式サイトに書いてある。「両方扱う」「有利なほうを提案する」と 明記している会社は、書ける立場にある会社だけ
- 比べるのは査定額ではなく手取り
各社が公式サイトに何を書いているかは、相続の相談先の台帳に 確認日つきで記録しています。相談・査定の段階で完結する窓口は 相談窓口の一覧にまとめています。