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この記事でわかること
親から受け継いだマンションの契約書に「定期借地権」とあったとき、気になるのはたいてい2つです。期限が来たらどうなるのかと、いま売れるのか。
この2つは、条文を順に見ていくと答えが出ます。そして普通のマンションとは、決定的に違う場所が3つあります。
借地借家法は定期の借地権を2つ持っていますが、住むための建物に使えるのは片方だけです。
23条は、こう始まります。
専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。次項において同じ。)の所有を目的とし、かつ、存続期間を三十年以上五十年未満として借地権を設定する場合においては…… ― 借地借家法23条1項
★居住の用に供するものが、はっきり除かれています。 つまり、住むためのマンションが定期借地権なら、残るのは22条だけです。
| 条文 | 何のための建物か | 存続期間 |
|---|---|---|
| 22条 | しばりなし | 50年以上 |
| 23条1項 | 専ら事業用(居住用を除く) | 30年以上50年未満 |
| 23条2項 | 専ら事業用(居住用を除く) | 10年以上30年未満 |
★「定期借地権は30年以上」と書いてあるページは、23条の数字を持ってきています。 住むマンションには当てはまりません。契約書の年数が50年以上になっているはずです。
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22条の本文は、外せるものを3つ並べています。
存続期間を五十年以上として借地権を設定する場合においては、第九条及び第十六条の規定にかかわらず、契約の更新(更新の請求及び土地の使用の継続によるものを含む。次条第一項において同じ。)及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第十三条の規定による買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。この場合においては、その特約は、公正証書による等書面によってしなければならない。 ― 借地借家法22条1項
外せるのは、この3つです。
| 外せるもの | 根拠 | 外れていると何が起きるか |
|---|---|---|
| 契約の更新 | 22条 | 期限が来たら終わる |
| 存続期間の延長 | 22条 | 建て替えても延びない |
| 買取りの請求 | 13条 | 建物を買ってもらえない |
13条は、普通の借地権ならこう使えます。
借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。 ― 借地借家法13条1項
★22条の特約でこれを外していると、満了のときに建物の代金は出ません。 建物を取り壊して土地を返すことになります。
なお、この特約は公正証書による等書面によってしなければならないと条文にあります。 契約書か公正証書が手元にあるはずです。無ければ、まずそれを探してください。
分譲マンションの建替えは、区分所有法にこう定められています。
集会においては、区分所有者(議決権を有しないものを除く。)及び議決権の各五分の四以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議……をすることができる。 ― 建物の区分所有等に関する法律62条1項
★ここが、普通のマンションといちばん違います。 5分の4を集めて建替えを決議できたとしても、借地借家法22条は「建物の築造による存続期間の延長がなく」と定めています。 新しい建物を建てても、借地の期限はそのままです。
普通の借地権なら、建て直したときに期間が延びる道が条文に用意されています。ただし7条は「その建物を築造するにつき借地権設定者の承諾がある場合に限り」20年間存続すると定めており、 地主の承諾が条件です。 定期借地権では、その道が契約そのもので閉じられています。 期限を動かすには、地主と新しい契約を結ぶ以外にありません。
マンションの土地の権利は、区分所有法で敷地利用権と呼ばれます。
この法律において「敷地利用権」とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利をいう。 ― 建物の区分所有等に関する法律2条6項
定期借地権のマンションでは、この敷地利用権が借地権です。そして、
敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。 ― 建物の区分所有等に関する法律22条1項
★部屋だけを売る、借地権だけを地主に返す、という切り分けはできません。 ただし条文にただし書きがあります。規約に別段の定めがあるかどうかは、管理規約を見ないと分かりません。
区分所有者は、自分ひとりで決める立場にありません。
区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し…… ― 建物の区分所有等に関する法律3条
各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。 ― 建物の区分所有等に関する法律19条
★地主に払う地代も、満了のときの取壊しの費用も、持分に応じた負担になります。 建替え決議の招集通知には取壊しおよび建築に要する費用の概算額とその分担を定めることが62条4項に書かれていますが、 定期借地権の満了による取壊しについて、条文が積立てを義務づけている規定は見つかりませんでした。 管理規約と長期修繕計画に、その費用がどう書かれているかを確かめてください。
| 確かめる場所 | 何を見るか |
|---|---|
| 契約の種類 | 22条の定期借地権か、普通の借地権か |
| 存続期間 | 開始の年と、50年以上という年数 |
| 書面の形 | 公正証書か、それに代わる書面か |
| 特約の中身 | 更新・延長・13条の買取請求の3つ |
| 管理規約 | 分離処分のただし書きがあるか |
★このうち「あと何年か」が、売るときにいちばん効きます。 残っている年数は毎年減りますし、22条では建て替えても増えません。
国税庁のタックスアンサーNo.4613 貸宅地の評価(ページの表記は令和8年4月1日現在法令等)には、定期借地権等の目的となっている宅地の評価について、 自用地としての価額から定期借地権等の価額を控除した金額で評価し、 自用地としての価額から「自用地としての価額×定期借地権等の残存期間に応じた割合」を引いた金額を上回る場合はその算式による金額とする旨が書かれています。
★これは土地を貸している側の評価です。 借地権を相続する側の評価について、当サイトはまだ条文・通達を確認できていません。 当サイトの借地権割合の記事は普通の借地権の話で、定期借地権等には使えません。
底地を売る・買うときの価格の考え方は、底地の買取価格にまとめています。
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