相続登記の義務化 相続登記、最短で2027年3月31日が期限です。2024年4月1日より前に相続したことを知った未登記の不動産は、原則2027年3月31日まで。正当な理由なく申請義務に違反すると、10万円以下の過料の対象となることがあります。

相続した不動産と、その後の手続きの台帳

相続税の申告は自分でできるか、税理士に頼むべきか|分かれ目と、選ぶときに確かめること

最終更新 2026-08-24

相続税の申告は、自分でできる場合と、やめておいたほうがいい場合がはっきり分かれます。

分かれ目は「難しいかどうか」ではなく、間違えたときに損が出るかどうかです。 特例の適用を落とすと、払わなくてよかった税金を払うことになります。

この記事は、その分かれ目と、頼むなら何を確かめるかを整理したものです。

まず、申告が要るかどうか

相続税には基礎控除があり、遺産の総額がそれ以下なら申告は不要です。

現在の制度では、基礎控除は次の式で計算されます。

3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

相続人が3人なら 3,000万円 + 1,800万円 = 4,800万円。 遺産の総額がこれを下回れば、原則として申告は要りません。

ただし、ここに落とし穴があります

特例を使って税額が0になる場合は、申告が必要です。

代表的なものが次の2つです。

特例 どういうものか
配偶者の税額軽減 配偶者が取得した財産のうち、一定額までは相続税がかからない
小規模宅地等の特例 一定の要件を満たす宅地の評価額を大きく下げられる

これらは「申告することで受けられる」仕組みです。 「税金が0だから申告しなくていい」と考えて何もしないと、 特例そのものが使えなくなり、税額が発生することがあります。

「税額0」と「申告不要」は別の話です。 ここを混同すると、いちばん損の大きい間違い方になります。

期限は10か月

相続税の申告と納付には期限があります。 一般に、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内とされています。

10か月は長そうに見えますが、実際には次の作業が入ります。

  1. 相続人を確定する(戸籍をさかのぼって集める)
  2. 財産を洗い出す(不動産・預貯金・株式・保険・借入)
  3. 不動産を評価する
  4. 遺産分割の話し合いをまとめる
  5. 申告書を作って提出し、納付する

4がまとまらないと5に進めません。 共有名義や不動産の分け方でもめると、ここで数か月が消えます。 不動産の分け方については共有名義になった相続不動産は売れるのかにまとめました。

自分で申告できる場合

次の条件がそろっていれば、自分で申告する人もいます。

  • 財産が預貯金と現金が中心で、評価が難しいものがない
  • 不動産が無いか、あっても1件で自宅のみ
  • 相続人が少なく、分け方でもめていない
  • 基礎控除を大きくは超えていない

国税庁の手引きと申告書の様式は公開されており、税務署でも相談を受け付けています。

税理士に頼んだほうがいい場合

逆に、次のどれかに当てはまるなら、自分でやると損が出やすくなります。

1. 不動産がある

土地の評価は、同じ土地でも評価額が変わります。 形がいびつ、間口が狭い、道路との高低差がある、線路や高圧線が近い、 といった条件で減額できる要素があり、気づかなければそのまま高い評価で申告されます。

払いすぎた相続税は、気づかなければ戻ってきません。

2. 小規模宅地等の特例を使いたい

要件が細かく、誰が取得するか・その後どうするかで適用の可否が変わります。 実家を相続して売るつもりなのか、住み続けるのかでも扱いが違います。

売却を考えている場合は、相続した不動産を売却するの順番も合わせて確認してください。

3. 財産の種類が多い

非上場株式、事業用の資産、海外の財産などが混ざると、評価そのものが専門的になります。

4. 期限が近い

残り時間が少ないなら、迷っている時間のほうが高くつきます。

税理士を選ぶときに確かめること

ここがいちばん大事な話です。

税理士なら誰でも相続税に強い、ということはありません。 税理士の主な仕事は法人の顧問業務や所得税の申告で、 相続税の申告を年に何件も扱う税理士は、実は多くありません。

だから、選ぶときに確かめるのは資格ではなく経験です。

確かめること なぜ見るのか
相続税の申告を年に何件扱っているか 件数が少ないほど、評価減の見落としが起きやすくなります
土地の評価を自分でやるか 外注する事務所もあります。誰が見るかで結果が変わります
書面添付制度を使うか 申告書に税理士の説明書を付ける制度で、税務調査の入りやすさに関わります
報酬の決まり方 遺産総額に対する割合が基本で、財産の種類や相続人の数で加算される形が多いものです
どこまで含まれるか 戸籍集め、遺産分割協議書の作成、名義変更が含まれるかは事務所で違います

報酬の総額だけを比べても意味がありません。 何が含まれているかが事務所ごとに違うためです。 同じ条件を伝えて複数から見積もりを取ると比べやすくなります。

探し方

自分で1軒ずつ当たるほかに、条件を伝えると相続に対応する税理士を紹介してくれる窓口があります。

当サイトの台帳では、専門家に相談するに、 相続税・生前対策への対応を公式サイトで明示している紹介窓口を記録しています。 対応地域、相談方法、費用の扱いが明示されているかどうかを、どの事業者でも同じ項目で確認しています。

相続税と相続登記は別の話

相続税は税理士、名義変更(相続登記)は司法書士と、扱う専門家が分かれています。

相続登記は2024年4月から申請が義務化されました。 2024年4月1日より前に相続したことを知った未登記の不動産は、原則2027年3月31日までが期限で、 正当な理由なく申請義務に違反すると、10万円以下の過料の対象となることがあります。

税金が要らない場合でも、登記の義務は別に残ります。 両方をまとめて引き受ける窓口もあります。

この記事でできていないこと

  • 税額の計算はしていません。基礎控除も特例も、要件と金額は制度の改正で変わります。 必ず国税庁の資料か税理士にご確認ください
  • 個別の判断はしていません。財産の内訳と相続人の状況で結論は変わります
  • 税理士報酬の金額は書いていません。財産の種類と相続人の数で変わるため、 1つの数字を出すと誤解のもとになります

次にやること

いまの状況 次にやること
相続税がかかるか分からない 専門家に相談する
不動産があり、評価が不安 専門家に相談する
実家を売る方向で考えている 相続した不動産を売却する
名義変更(相続登記)がまだ 専門家に相談する
何から決めればいいか分からない 相談先さがし

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